「オノマトペ」って聞いたことありますか?かわいらしい響きですよね。言葉そのものは昔からありますが、最近日常でもこの言葉を見聞することが増えたような気がします。
オノマトペはもともとフランス語(onomatopee)。そう聞くとなんだかオシャレな感じもしますが、何かと言えば、要は擬態語・擬音語の総称です。日本語はオノマトペが溢れています。例えば、ある食品メーカーのCMでこんな歌が流れているのを聞いたことありませんか?
…♪じっくりコトコト煮込んだスープ♪…
「コトコト」が入ることによって単に「煮込んだスープ」よりも時間と手間暇をかけ、鍋の中でおいしそうに煮えている様子が目に浮かびますよね。状況を印象鮮やかに伝える力があるんですね。 その効果を生かして、昔話にも多く使われています。
★カニはごそごそ柿の木に登っていきました。…(略)…ごそごそ登ってはごろんと落ち…
『猿かに合戦』より
「ごそごそ」で木登りが上手ではないカニが素早さはないけれど、8本もの足を使って一生懸命に木に登る様子が目に浮かびます
★栗が灰の中からばちんとはねて、猿のおでこにあたりました。 『猿かに合戦』より
栗の重量感が感じられますね。とっても痛そう…。
★カメがひとかきするごとに、辺りはずうんと暗くなり… 『うらしまたろう』より
竜宮城が暗く深い海の中にあることが分かりますね。
★鬼どもはじいさまの厄介者のこぶをぽっくりと取ってしまいました。『こぶじいさま』
鬼たちはいとも簡単に、そしてすっかりきれいにこぶを取ってくれたんですね。
注)出版社や著者によって多少の違いがあります。
さて、このオノマトペ、生活の中でもぜひ使ってください。例えば…
□我が子の姿勢が悪い時 ⇒ 「とろーんと溶けてるよ」「背中をピッ!」
□だらだら歩いている時 ⇒ 「スッスッと歩いてみよう」
□折り紙をきれいに折る時 ⇒ 「アイロンかけるよ。スーーーーッ(ピーーーーッ)」
教室で授業を受ける我が子を見て「なんとかならないかしら?」とお母さん達が困っているであろうことを一例として挙げました。幼児には難しい言葉より、オノマトペを使う方が分かりやすく有効です。小学校受験で出題頻度の高い「お話の記憶」にも当てはまります。文中に聞き慣れない言葉が出てくると手も足も出なくなってしまいますが、オノマトペが入ることで、話全体のイメージがぐっと掴みやすくなります。
受験に限らず、オノマトペに親しむことは言葉への関心を高めることにつながります。お子さまと一緒にさまざまなオノマトペの語感を楽しんでみてください。
最後にクイズです。
宮澤賢治の作品には独特のオノマトペを見ることができます。
[ ]にはどんな言葉が入ると思いますか?
①(ねずみは)こんぺいとうを[ ]食べました。 『ツェねずみ』より
②たくさんの白いきのこが、[ ]と、変な楽隊をやっていました。『どんぐりとやまねこ』より
③馬があんまり泣くものですから、ついつりこまれてちょっと鼻が[ ]しました。 『貝の火』より
④二ひきのかにの子供が青じろい水の底で話していました。(中略)
「クラムボンは[ ]わらったよ。」 『やまなし』より
問題は以上ですが、あらかじめ読んだことがある人でなければ、これらを正答させるのは難しいと思います。ここは当たったかどうかよりも、こんなオノマトペもあるんだなと楽しんでいただければ幸いです。
【正解】
①[コチコチ]食べました
②[どってこどってこどってこ]と、変な楽隊をやっていました
③鼻が[せらせら]しました
④[かぷかぷ]わらったよ
執筆者紹介
どんちゃか理英会 りえ先生(仮名)
自身も数年前まで理英会に母として通い、愛息を小学校受験させた(もちろん結果は志望校合格!)。そして今は理英会スタッフとして、後輩ママさんやお子さんの受験指導、日々の授業に格闘している。母と指導者両面の視点から見えてくるものをこのコラムで自由に語ります。
本人コメント「今まさに受験最中であるお母さん、お父さんの息抜きとしてお役に立てたら嬉しいです」