小さなお子さんは月齢や年齢が高いほど、さまざまな面で有利と一般的には言われていますよね。実際、年長さんの方が年少さんよりも話の理解度や運動能力は高いですし、受験に関する事柄についても、例えばプリントの枚数や習い事の数、私立小学校への訪問回数は年長さんの方が多いでしょう。でも、年少さんの方が上回っているな、と感じるものもあるのです。それは「授業中、自慢げに後ろを振り返る回数」です。
私たち講師が授業中よく目にする光景ですが、子ども達はよく振り返ります。後ろで見ているおうちの人が気になるのでしょう。その頻度は年少さんも年長さんもあまり変わりません。ただ、その振り返り方には違いがあるように思えます。
年少さんは「出来たよ!」「すごいでしょ?」「ほらね」「面白いよ~」という表情で振り返ることが多いです。自分が答えられたとき、課題がクリアできたときに、いわゆる「ドヤ顔」でおうちの人にアピールします。また、授業中に発見したこと、興味深いことがあったときには、チラッと振り返ることが多いです。ご家族と共有したい気持ちからくるのでしょう。保護者の方も、我が子のそんな姿に微笑で応える場面が多くられます。
一方、年長クラスの子ども達ですが、もちろん「出来たよ!」とドヤ顔をすることはありますが、どちらかと言うと「これで合ってるかな?」「あー、間違えちゃった…」「知らなかったんだよね・・・」と不安な気持ちだったり、怒られるかな?という心配から振り返ることが多いように感じられます。そのときのおうちの人の表情は・・・ご家庭によってさまざまなので詳しく書かずにおきましょう(笑)。
天真爛漫、失敗なんか気にしない年少さんと、だんだんと親の気持ちや周囲の反応がわかり、気にするようになってきた年長さん。どちらがよいということではなく、これは成長による違いです。不安そうな年長さんの我が子を見て、眉間にしわを寄せて見返したい気持ちをこらえて、モナリザのような微笑を返せたらステキですね。
さて、最後にせっかくなので、ここで保護者のみなさんも「振り返って」みましょう。勉強に関するお子さんへの接し方のチェックです。
① 大人の都合で、勉強の時間を決め過ぎていませんか?
その時、お子さんはやる気になっていますか? 心の準備はできていますか? 時間帯は遅すぎたりしていませんか?
② 知識の詰め込みをしていませんか?
お子さんがその場ですぐに理解できなければ、気分転換を。できない問題を一旦寝 かせることも一つの方法です。また、一度教えたからといって子どもは覚えている とは限りません。「ほらこの前、教えたでしょ!」は通用しない、と思っておいた方 が教える方にも余裕が生まれます。同じことを何度も教えることにこちらも慣れて いきましょう。
③ 答えの「正解」「不正解」にこだわりすぎていませんか?
もし間違った答えが出てきても、「違うでしょ!」と非難するのではなく、どうして その答えが出てきたのか、お子さんの話を聞いてあげましょう。そして、自分なり に考えられたという事実、自分の言葉で教えられたことを褒めてあげましょう。
答えることにビクビク怯えてしまったり、学ぶことに消極的になってしまっては可哀想ですし、勉強の本末転倒です。間違えてもいいんだ! 考えることが楽しい! おうちの人と一緒にやるのが楽しい! そうお子さんが感じられるたら、ご家族の「勝ち」ですね。
執筆者紹介
どんちゃか理英会 りえ先生(仮名)
自身も数年前まで理英会に母として通い、愛息を小学校受験させた(もちろん結果は志望校合格!)。そして今は理英会スタッフとして、後輩ママさんやお子さんの受験指導、日々の授業に格闘している。母と指導者両面の視点から見えてくるものをこのコラムで自由に語ります。
本人コメント「今まさに受験最中であるお母さん、お父さんの息抜きとしてお役に立てたら嬉しいです」