理英会の年少クラスで“ダーマトグラフ”という色鉛筆を使い、サンタさんの服を赤く塗っていく授業があります。ダーマトグラフは、よく学校の先生が丸付けに使っている、糸を引いて鉛筆の皮を剥くと次の芯が出てくる色鉛筆。子供たちはごしごしと一生懸命サンタさんの服を塗ります。赤い芯がなくなり、皮を剥き、また塗ります。その繰り返し。サンタさんの服はだんだん赤く塗られ、代わりにダーマトグラフはどんどん短くなります。
一方、年長クラスではこんな問題に取り組みます。3枚の絵があります。「火のついた長いろうそく」「少しろうが溶け、短くなっているろうそく」「火も消え、ほとんど溶けてしまったろうそく」。時間の経過順に並べた時、2番目の絵はどれ?という問題です。答えは少し溶けかかったろうそくです。しかし経験年数の少ない幼児には意外と難しいのです。
子供たちは、このだんだんと“変化”していく様子に気付くことが苦手です。世の中に不変のものはほとんどないので、生活していれば少しずついろいろな物が変化しているのですが、なかなか気付きません。親である私たちも見過ごしているかもしれません。
例えば、向こうから近付く電車。近づくにつれ、だんだん大きく見えます。鮮明に写っていた写真は月日が経てばだんだんと色褪せていきます。水を火にかければ小さな泡が出、ボコボコと大きな泡に変化します。そしてだんだんと水量は減っていきます。春は満開の桜の木。花びらは散り、夏には緑の葉が生い茂り、秋には橙(黄色)や茶色の葉に色付きます。
こんな変化に気付ければ、どうしてだろう?と疑問がわきます。自分なりの理由を考えたりします。解決するために、観察し続けることも必要でしょう。仮説を立て、実験し、立証する。発見する。幼児期でも親が変化に気付かせてあげることで、子供も考えを巡らせることができます。日常でも是非、変化に目を向けてみましょう。
おうちの人も気付いていますか?我が子が日々変化し、成長していることを。
執筆者紹介
どんちゃか理英会 りえ先生(仮名)
自身も数年前まで理英会に母として通い、愛息を小学校受験させた(もちろん結果は志望校合格!)。そして今は理英会スタッフとして、後輩ママさんやお子さんの受験指導、日々の授業に格闘している。母と指導者両面の視点から見えてくるものをこのコラムで自由に語ります。
本人コメント「今まさに受験最中であるお母さん、お父さんの息抜きとしてお役に立てたら嬉しいです」