慶應義塾横浜初等部 在校生保護者インタビュー 学校生活・小学校受験のこと

話し手

慶應義塾横浜初等部在校生の保護者
年中から理英会・青葉台校に通塾
理英会ではふくろうクラス、慶應ゼミを受講

横浜市青葉区に2013年に開校した慶應義塾横浜初等部は慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部、慶應義塾大学と連携した小中高大一貫教育の小学校です。
小学校受験校として全国で最も志願者倍率の高い人気の学校です。
そんな慶應義塾横浜初等部の在校生の保護者にインタビューを実施いたしました。

どのような受験対策が有効なのか、併願校はどうすればよいのかといった受験にまつわることから、入学後の保護者と学校の関わり方、先生の印象、通塾状況などといった在校生ならではのお話も伺いました。慶應義塾横浜初等部の受験をお考えの方に役立つ情報になっています。

慶應義塾横浜初等部の学校生活について 意見を言える活発なお友だちが多い!
1.まわりのお友だちやクラスの雰囲気は?

まわりのお友だちは活発な子が多い印象です。
男の子も女の子も、みんなとてもはつらつとしているイメージですし、とにかく手をどんどん上げます。
どんどんしゃべって意見をきちんと伝えられる子たちが集まっているという印象を受けます。
また、他の小学校と同じようにルールや規則は厳しいですが、子ども自身に考えさせる場がとても多いと感じています。

保護者同士もつながりを大切にする 2.学校と保護者の関わり方は?

わが家も共働きですが、まわりには働いているお母様もたくさんいらっしゃるという印象を持っています。
慶應義塾横浜初等部にはPTAはなく、保護者が何かの役割を持つことはありません。
保護者会は平日ではなく土曜日に行われ、コロナ禍のためオンラインのウェブ会議形式に変わってきています。
お友だちの保護者の方とは、一年生のうちからたくさんイベントがあるので、そういったところに参加することでお会いできる機会があります。
保護者の中でも縦のつながりも横のつながりも大切にする雰囲気がありますね。

登下校も大切な経験の場 3.登下校は心配でしたか?

小学生になったばかりで満員電車に乗せて通学させることはやはり不安でした。
最初の1~2ヶ月くらいは間違えちゃった、急行に乗っちゃったという子がやはりいるんですね。
長津田まで行ってしまって、3時間目にやっとたどり着いた子もいます。
でもそれも先生たちは、「どうやって帰ってこれたの?」と質問して、そこでその子が得た経験をきちんとみんなの前で報告させて、次はどうしたらいいかという形でお話をしてフォローしてくださいます。
入学してから最初の10日間くらいは親子で一緒に通える期間があるので、その間にしっかりと親子で練習できます。
例えば、いつもと同じ電車に乗れなかったり、遅延などで乗り継ぎができなかったり、困ったときに誰にどのように聞けばよいかを確認するんですね。
その間に、あの子も同じ電車だねって慣れてくるので、それほど心配することはなかったと思います。
実際、うちの子も間違えて急行に乗ってしまったことがありましたが、そのときは駅員さんにどうすればよいか聞いたそうです。
でもやはり、携帯電話を持たせてはいけないので心配はしました。
また、先生にもよりますけど、あまり時計っていうものを勧めていないんですね。
時計なんてその辺見ればいくらでも見つかるよねって考え方です。
自分でしっかりとまわりを見て判断できるように、行動できるようにしなさいという考え方なので、なるべく物を与えるのではなく、人に聞いたりまわりにある時計を見て動けるようにさせています。

「自分で考えて答えを出すことが大切」という指導 4.先生方のご指導の印象は?

子どもを甘やかさず、厳しい先生が多い印象です。
厳しいといっても怒鳴ったりすることではなく、子どもが自分で答えを出すことが大切との考え方の指導です。
「どうしてなの?じゃあ、どうしたらいいの?」といった質問返しをされることが多く、それが子どもの考えるチャンスになっているんですね。
また、授業の内容をいかに面白くするか、ということを考えている先生もいらっしゃるので、個性的な変わった授業が多い印象です。

学習は量より質の高さ 5.学習の進度について

他の小学校とさほど差はないと思います。
すごく進度が早いとか、宿題がやたら多いとか、そういうことはないと思います。
量的には他の小学校と同程度のように思いますが、質の高さを求められるように思います。
夏休みの宿題に自由創作展というのがあって、自由に自分で課題を決めてものを作るのですが、ものすごく力を入れていますね。
コロナ禍で展示会を実際に小学校に出向いて見るチャンスがなかったのですが、全学年分の写真をオンラインで見られるように、学校で手配してくださったんです。
先生方が撮影した写真を見ていたところ、小学校4年生くらいで、絵コンテを描いてCMを作ってしまうようなそんなすごいレベルです。
6年生になるとロボットを作ってセンサーで動くようにプログラミングした作品などもあります。
小学校1年生ですと、様子見ではないですが、かわいい作品が多いんですが、学年が上がるにつれどんどんレベルが上がっていくのがわかります。
そういった意味で、学習や課題に対しては質にこだわっていることが感じられますし、保護者の方のサポートの様子も垣間見られます。

持ち物や宿題の確認など保護者の相応のフォローは必要 6.ご家庭での日々のサポートは?

小学校に入学してすぐは、家庭で整理整頓から始まり宿題の確認など、保護者が関与する必要はあると思いますが、1年生としての普通のフォローです。
明日までの期日ですごい量の宿題が出るというわけではなく、日数があって、そのなかでやりなさいねという形の宿題が多いです。
コロナ禍でiPadが配布され、Google ClassroomとGoogle Meetというアプリで授業をすることがあり、その場合はアプリの方に連絡が来るんですね。
保護者も見られるようになっているので、基本的には私がそれを確認して、子どもにこんな連絡が来たよ、と伝えたりすることはありますが、大変な作業ではありません。

持ち物の管理は基本!1年生のうちから自分でできるように 7.学校における日常の生活指導について

コロナ禍になって特に手洗いなどの指導はしっかりされています。保健室の先生に厳しく手洗いの指導をされているそうです。
整理整頓、持ち物なども当たり前のようにできないとついていけないという印象です。
忘れ物の対応は先生によって違いますが、厳しい先生もいらっしゃいます。
連続して3回忘れ物をすると、その学期の残りの授業は外で立たされるということもあるそうなんですね。
だから整理整頓、持ち物の管理はやはり1年生のうちにきちんとできるようになっておいた方がいいですよと、他の先生からも指導を受けます。

習い事は子ども自身の意思が大切 8.学習塾・習い事について

学習塾や習い事は、推奨していない雰囲気はありますし、勧めないとおっしゃる先生も実際にいらっしゃいます。
ただ、本当にやりたいことであれば、先生と相談しながら通うことはできると思います。
うちの子にもがんばっていることがあるので、学業優先という前提で、先生と一緒にスケジュール管理をさせていただいていますし、理解していただいています。
また、学習塾に通っている子はいるようです。
数年前まではいなかったと思うのですが、一期生が中学生になって、中学受験で途中から入ってこられた子もいるなかで、ついていけなくて数人落ちた、といった噂もあって、3年生、4年生あたりから塾に行かせる方がちらほらいらっしゃるようです。
ただ、個人的には塾にいかなくても十分やっていけると思うんです。
基本的に、留年・落第の理由は素行問題が大きいと思いますので、遅刻をしない、宿題は忘れない、授業中に居眠りしない、というところを押さえれば、そこまでのことにならないと思うんですね。
きちんとしていれば、先生方がフォローしてくださるので、できないところは先生に早めに相談すると良いと思います。

小学校受験を振り返って 小学校受験は父親が母校について子どもに話したことがきっかけ
9.受験を意識した時期は?

子どもが年中の夏頃に、たまたまSFC出身の父親の同窓会があって、子どもに中学の話や、小学校の説明もしたんですね。そうしたら「僕は絶対そこに行く」って言い出したんです。
じゃあ受験だねってことになって、あわてて塾探しをし始めたのが年中の9月、10月くらいで、11月から理英会に入会したんです。

願書の準備は家庭の教育方針を固めることから 10.慶應義塾横浜初等部の入試の準備・願書について

わが家は願書の準備は遅かったかなと思います。
理英会に新年長(年中の11月)で入会して、最初の1ヶ月くらいはついていけなくてお休みしたりしたのですが、12月くらいからちゃんと通い出したんです。
だから願書はあわてて準備した感じなので反省しまして、弟の方は早めに始めるようにしています。
願書を書くにあたっては、その小学校の情報を調べる時間も必要ですし、子どもの勉強の忙しい時期と願書の準備をする時期が重なってしまうんですね。
忙しいとどうしても私が子どもとぶつかったりして精神的にも良くないので、基本的には父親に全部書いてもらって、私が清書する形でやりました。
ただ、大事なのはどの学校でも共通するのは家庭の教育方針なので、そこだけはしっかり時間を取って話し合って、その上で願書を作成しました。
理英会の願書添削サービスも利用し、2~3回、添削をしていただきました。
慶應義塾横浜初等部は私たちが出願する年に、ちょうど課題図書が変わって『福翁百話』の本になったんです。
願書が配布されたその日に、もう書店にもなくて、なんとか電子書籍で購入しましたが、ページ数も多く父親が急いで読んで願書を書き上げて、私が清書して締切間際に出す、という感じでとてもあわてたことを覚えています。

場数をふむため併願校含めて9校受験 11.併願した学校や入試について

うちは13校くらい願書を出しました。
結局全部は受験できなかったのですが、できる限り場数は踏む必要があると考えて、日程がかぶらなかった9校は全部受けました。
不合格だったところも、どこがダメだったのか反省して最後1ヶ月から2週間くらいで修正していきました。

好奇心旺盛で積極性のある子 12.どんな性格のお子様ですか?

ちょっと落ち着きのないタイプで、講習でも止まる、聞く、しか言われなかったりして、夏までは心配してたことを思い出します。
逆に言うとみんなの中では元気いっぱい、やる気満々で、とにかくいろいろ参加したいという気持ちが強い子でした。
圧倒的にスタミナがあり、プリントをやり続けてもパフォーマンスが落ちてこないし、身体的にもとても元気でとにかく動き続けるような子でした。
あと、人前に出て、なるべく人としゃべることを意識してさせていたのですが、いろんなところに出してみて様子を見ると、小さい頃からわりとどんなときも動じない子だというのがあったんですね。
いつでもいつも通りの力を発揮できるタイプでした。

受験期に意識したのは毎日の体調管理と生活リズムを整えること
13.受験期の過ごし方や日々のスケジュールは?

受験はとにかくスタミナ勝負だと思います。
親も含めてどれだけ走り続けられるか、というのが勝負になってくると思っています。
プリントや運動、工作など、やればできるようになるんですけど、途中グダってくるんです。
そこを日々体調管理して、生活リズムを崩さないようにするというのは意識しましたし、親としては大変でした。
夜8時には寝かせるようにして、朝は7時から1時間公園で運動をやってから幼稚園にいきました。夏以降は、幼稚園も1~2時間くらいで帰ってきて、家でお昼ごはんを食べてすぐプリントをやっていました。
2時間くらいはずっと座って取り組んで、おやつの前までに終わらせ、夕方には塾に行く、というスケジュールを組んでいました。
うちの子は始めるのが遅かったので、3~5月あたりは毎日理英会のプリントを多いときは190ページくらいこなしました。
プリントは1枚1分くらいで、じっくりというよりはスピード重視でどんどん進めていく感じです。
プリントをやる時間は親がついていないといけない時間ですが、その他の時間は、工作とか点つなぎとか、遊びでできるものを点在させていました。
家の中に鉄棒、平均台も用意して運動できるようにしました。
テレビも鉄棒の上から見て、その間は上半身運動しているような状態にしたり、テレビも見るならYouTubeで日本昔話をみようね、と受験に近しいものを見せるようにしていました。
また、床にマスキングテープで✕をつくって、そこの道を通るときは必ずケンパで通ることにしたり、お手洗いのついでに工作できるようにしたり、市販のドリルとかを置いておくんです。
とにかく手を動かせるようなコーナーを3、4か所作っておいて、家にいても塾にいるような環境を作っていました。

絵画制作は「何を伝えたいの?」と問いかけ子どもが話せることが大事 14.絵画や制作はどんな対策をしていましたか?

初めはきれいな作品を作らないといけないんじゃないかと思っていたんですが、決してそんなことはないんですね。
動物の足が変な方向から生えているとか、そういうのはもちろんダメなんですが、それよりは何を作って何をここで表現したかったのかということを、きちんと話せることが大事なんです。
絵画工作は、発想力がとても大事なので、作品のうまさではなく、「何のために作ったの?何を伝えたかったの?」ときちんと聞くようにしていました。
何のために作ったのかということも、まわりの人のためになるものを作れるかどうか、まわりを広く捉えられる発想ができるかどうかを見ていました。
また、アイディアってなかなか浮かんでくるものではないので、日ごろからこんなとき困るんだよね、とか、こうだったらいいのにね、と言いながら過ごしていると作品に反映できたりするので、そういったことを意識していました。

うまくいかない時は「やらない」割り切り上手に個別指導を利用 15.苦しい時期はどう乗り越えましたか?

プリントでつまずきそうになったら、一度簡単な問題に戻してあげていました。
そうすると気持ちが乗ってきてまたできるようになるんですよね。
市販の簡単なドリルを買ってあげて、簡単だねって言いながらやっていくと自己肯定感も上がって、やる気も出てくるんです。
ただ、プリントを一緒にやっていると、どこができていて、どこが遅れているかというのがわかるんですね。
これをどれだけ頑張ってもここが進んでいないから無理だな、というのがわかるので、そういうときは潔くプリントをやらないことにしました。
ちょうど夏の期間の二ヶ月は一切やりませんでしたね。
夏期講習に行けば7時間くらいは塾にいて、そこで一生懸命プリントはやりますから、家では遊んでいいよ、工作や運動を頑張ろうね、というふうにしていました。
飽きっぽいものの、一つのことには集中できるので、年長の初めは工作を頑張って、途中でプリント、そのあと運動を頑張って、最後に全部まとめる、というように集中的にやる時期を設けました。
うちの子はプリントが好きだし得意だったので、あまり困らなかったのですが、苦労したのは、なわとびとかゴム跳びでした。
やはり親が教えようとするとどうしてもケンカしてしまったり甘えが出てしまうので、個別指導をお願いして運動を見てもらいました。
先生の前だと突然スイッチが入るので、塾で授業を上手に組んでもらいました。
親ができないところは先生に任せよう、という気持ちで最後の方は、塾の授業が終わったあとに毎回個別で絵画工作だけを教えていただいたり、テストの前日も個別授業を入れていただきました。

「夏期講習でのびる」はホント 他校舎へ通う良い機会 16.理英会で受けてよかった授業は?

間違いなく男子難関パックです。
うちの子にとっては、最後の夏にグンと伸びたのはそのおかげかなと思っています。
また、青葉台校に通っていましたが、なるべくほかの校舎にも通うようにして、いろんな子と会うように気を付けていましたし、弟もそういう風に意識しています。

入試はやっぱり体力!親子の信頼関係も大切 17.合格に至った要因は何だと思いますか?

一つはスタミナだと思います。
受験の時期は、一日に何校も回ることもあるんですね。
試験を受けたあと走って次の学校に行く、という親子で走り回っているような状況で、ちゃんとついてこれる体力があるかどうかはすごく大事だと思います。
また、親子関係も重要な要因だと思います。
入試本番で、子どもがぼーっとしてしまう瞬間があったりしますが、そのときに目線だけで気を付けなさいっていうことを伝えられて、子ども自身も理解できる、そういったつながりができていることも大事だと思います。
あとは、子どもの「スイッチ」がどう入るかを、親が把握していることも大事だと思います。
うちの子は元気で度胸もあるタイプで、直前までヘラヘラしているんですけど、「用意スタート」の瞬間にパッと目つきが変わる感じだったんですね。
だから、早くスイッチ入れなさいって、親がハラハラして叱ってしまうようですとうまくいきませんし、スイッチを上手に入れるタイミングを親が理解して落ち着いて声がけできることが大事だなと思いました。

関わる時間が少ない父親との親子関係を大切に
18.家族で心がけたことは?

受験の時期は弟がまだ小さくて、父親に弟の世話をしてもらうことが多く、受験対策においては父親が関わることが少なかったんです。ただ、入試の面接などでは父親の存在は大切なので、そのときにきちんとした親子関係が築けている必要があると考えていました。
例えば、お父さんの関わりが少ないと、お父さんが一緒にいるときに甘えてしまったり、しっかりと自分を発揮できない子がいらっしゃるんですね。弟の世話でなかなか父親が関われないとしても、母親が父親のことを「物知りだね」、「お父さんみたいになりたいね」と子どもに話すだけでも、関係は築けると思っています。面接でも「お父さんの素敵なところはどこですか?」と聞かれたりすることもあるので、そういった面でも子どもには言葉にして伝えてあげるようにしていました。

最後に 子どもが自ら考え実践する場を与えてくれる学校
19.慶應義塾横浜初等部に入学してよかったと思うことは?

のびのびと生活できていることがとても良かったと思いますし、何よりこの学校は上の学年の子たちとの関係を大事にしていて、学ぶことがたくさんあります。
1つのエピソードですが、4年生くらいの子が廊下で走っていて、先生に叱られたそうなんですね。
先生は「何がいけなかったか、どうしたら改善できるか考えてきなさい」って子どもに言うわけです。
その子たちは、廊下を走ってはいけないというルールを分かっていなかった、伝わっていなかったことが問題だったと結論を出すんです。
だからルールをきちんと理解するために、ゲームを作ってみんなでやりたいというんです。
1年生の模範になるように全部の学年でできるゲームをその子たちが作って、その子たち主導でゲームをやる、それを学校が許可するんですね。
『逃走中』みたいな走り回るゲームなんですが、走ってよいところ、ダメなところをルールとして決めるんです。
2か月間くらいでしたか、週一で曜日を決めて、朝、登校した順の何番目かの子でゲームをするのですが、始業前にそういったことをさせてくれる、子どもたちの考えを尊重して成長の場をきちんと与えてくれる学校なんだな、そうやって上級生からたくさんのことを学べるだろうな、と改めてこの学校で良かったなと思いました。
小学生になって、まだまだ自己管理が甘いところは、年齢並みにあるんですが、自分で考えて意見を言えるし話せるようになって、きちんと話し合いができるようになってきたな、という成長は実感しています。

どんちゃか幼児教室〔0歳~3歳〕

幼小受験 理英会〔2歳~6歳〕