小学校入試は毎年秋に実施されます。
1月、2月、3月などの早生まれの年長さんはまだ6歳にならない5歳のうちに入試に臨むことになるわけです。
一方、秋には4月生まれのお子さんは6歳になってから半年たっています。
数ヶ月で心も身体も大きく成長する幼児にとって、この差というのは小さくないでしょう。
早生まれの保護者の方は心配になりますね。
そもそも小学校入試では早生まれ(1月~3月生まれ)は、どのくらい影響があるのでしょうか。
やはり不利になってしまうのでしょうか。
今回はこの点についてお伝えします。
私立小学校の入試と月齢との関係は次のように分類して考えられます。
●入試と月齢についてある程度の方針を公表している学校
大きく二つのタイプにわかれます。
更にこの二つのタイプを細分化することができます。
ひと口に月齢を考慮すると言っても、次の2つのような違いがあるのです。
「同じ月齢の子同士で活動できるように月齢を考慮した入学試験を実施している」
「合格者の選抜に月齢を考慮し、3月生まれの子が4月生まれの子より得点が下でも合格することがある」
学校によっては年度や校長先生の意向で変わってくることもあり得ます。
例えば、私どもの手元にある『月齢を考慮して入試を実施している(と言われている)学校リスト』には、首都圏にある私立小学校の約6~7割の学校が載っています。
しかし、先ほど書いたとおり、この数字はあくまでも目安です。
ちなみに東京に6校、神奈川に2校ある国立小学校もそれぞれのスタンスで月齢に対応しています。
例えば筑波大附属小学校。
2次試験では月齢で幼児をグループ分けします。
このように月齢でグループ分けをして試験に臨みます。
合格者の月齢がある程度平均的になっているようだとの話を聞きますと、ある程度の月齢考慮をして
合格者の選抜をしていると思われます。
つまり先ほどのa~dのうちのaタイプですね。
このような学校では、早生まれは合否にとって特に不利にはならない、と言ってよいと思います。
中には入試と月齢について募集・入試要項で一切触れていない学校もありますが、このような学校は
月齢が全く考慮されず、早生まれのお子さんは合格しにくいのでしょうか。
どうやら一概にそうは言えないようです。
実はこのあたりはたいへんデリケートな部分なので、それぞれの学校が入学者選抜にどの程度月齢を考慮しているかは明確にはわからない、というのが実際のところなのです。
早生まれだからおそらく不利なんだ、と思い込まず、ぜひいろいろな学校を調べてみてください。
実際の説明会などでその学校の先生とお会いした際にズバリ尋ねてみても何の失礼にも当たりません。
調べたり、学校に尋ねたりした結果、もし希望の学校が「入学者の選抜において月齢をほとんど考慮しない」ことがわかったとしても早生まれを理由にこれらの学校をあきらめる必要は全くありません。
なぜなら、そのような学校には4月、5月、6月生まれの子の割合が若干高い可能性があるとはいえ、早生まれの子も一定の割合でしっかりといることと、そしてしっかりとした受験準備をすることで入試における早生まれのハンディキャップを埋めることでが可能だからです。
早生まれのお子さんには次のような特徴があります。
これらは本人の能力や性格ではなくお子さんの成長段階、発達段階が原因です。
それぞれの対策と共にご紹介します。
・「ウォーリーをさがせ!」「ミッケ!」などの見ることのトレーニング用の本を与え、楽しく練習する。
この視野こそ成長発育とともに広くなっていくものですので、ほどほどにしましょう。
・その都度、相手はどう感じているか、どういうつもりかを教えてあげる
これらの対策に共通して大切なことはまわりの大人が本人にじっくりと接すること。
早生まれのお子さんが月齢の高いまわりの子と同じように頑張っているのはそれだけですごいこと、と常に親は考えてください。
早生まれの現時点で未熟なところがあるとすれば、それは本人の能力や性格ではなくお子さんが成長段階、発達段階であることが原因だということをあらためて申し上げます。
早生まれの子にはメリットもあります。 それはまわりに引っ張ってもらえること、と頑張り屋タイプになりやすい、ということです。 まず何よりも早生まれのお子さんのまわりには「まわりに自分より少しお兄ちゃん、お姉ちゃん」がたくさんいます。 そこで常に今の自分より少しだけ成長の早い「先輩」と一緒に遊んだり、勉強したりしているうちに早生まれのお子さんはよい具合に鍛えられていきます。 そして、自分より月齢の高い子と競い合うにはそれなりの努力をすることになりますので、その結果頑張り屋タイプの子になっていることが多いようです。
早生まれについて書いてきました。
小学校受験では入試のしくみ自体に早生まれが考慮されている傾向が高いです。
このため、小学校入試では早生まれはしっかりとした準備をすれば、心配するほど不利ではありません。
一方で、和田秀樹著「東大に入る子は5歳で決まる」によると、東大合格者は4月、5月、6月生まれが明らかに多い、と書いてあります。
そこには大学入試以前、中学入試でもその傾向は明らかとも書いています。
これはおそらく、中学入試以降の入試は小学校受験のような早生まれへの考慮が一切ないためとも考えられます。
人生を長い目で見るときっと早生まれには早生まれのよさがあります。お子さんの生まれ月は今から変えることはできませんので、お子さんが何月生まれだろうと前向きに考えていきましょう!
どうせやるならぜひ、「親子で成長できる小学校受験を!」
幼児、そのご父母、幼児教室スタッフ、小学校現場などから生の声を収集することを日々のフィールドワークとしている
横浜国立大学教育学部心理学科卒