~小学校受験を経験した保護者に聞いてみた~
このデータは理英会を卒業される小学校受験を経験したご家庭が、どの時期に「わが家は受験しよう」と決めたのか、というものです。
どうやら「年中期」というのがひとつのポイントになっているようで、
・年中になる前に決めたご家庭 ・・・ 40%
・年中を終えるまでに決めたご家庭 ・・・91%
と、小学校受験をする9割のご家庭が、お子さま本人が年中のうちに小学校受験を決心しているという結果がでています。
私自身、現在の幼児教育や小学校受験の世界に来る前に、進学塾の職員として中学校受験、高校受験、大学受験のすべての受験に関わってきました。その経験から言えることは、お受験と呼ばれる小学校受験は、他のどんな受験にも負けずに
・受験生(子ども)本人への親の働きかけの影響が強い
・受験を通して合格以外に親子で得るものの総体が大きい
のではないか、と強く感じています。
理由は大きく二つです。
1. 親が受験自体に徹底的に関わらざるを得ない
毎回の通塾はもちろん、模試、講習、模擬面談、入試当日・・・とあらゆる機会に保護者は受験生であるわが子と行動を共にするのが小学校受験です。幼稚園受験以外にこのような親の関わりが求められる受験はありません。
2. 子どもと親が真摯に向き合う場面が極めて多い
他のどの受験より、小学校受験はお子さま本人と親御さんが関わり、時にぶつかります。
幼稚園受験ではお子さまの年齢がまだ幼いから、ぶつかるまではいきません。中学受験以降は逆に、場面によっては親があえて関わらないことが要求されることがあります。
小学校受験では100%親は子どもの勉強に関わります。 必然的にそれだけ涙や、笑いの機会が他の受験に比べて多くなります。
これとは別に小学校受験ならではのもうひとつの特徴は、受験に関する意思決定は100%親がする、という点です。余談になりますが、わが子に「小学校受験をして私立小学校にいってみる?」と「相談」なさるご家庭があります。ですが、実質的にはそれは相談ではなく「誘導」です。少しいじわるに言えば、この先に何かあったとき、親がわが子に向かって「〇〇ちゃんが受験する、って言ったのよね」というための布石です。そもそも年端もいかぬ子どもに私立、国立小学校と地元の公立小学校の選択ができるわけがありません。
次は小学校受験をする!という「親の決定」を当人であるわが子にみなさんはどう伝えているか、ということを調べてみました。
数年前に出会ったご家庭の話です。慶應幼稚舎を目指していたのですが、最後の最後まで(入試の本番もその後も)受験をする、という認識をお子さまに与えずに合格されました。慶應幼稚舎の入試形態にはペーパー試験がない、など特徴的なこともあるでしょうが、最後の最後まで「◯◯くん(男の子)は、楽しく遊ぶんだよ」「どうやったらかっこいいものが作れるかな」といい続けたご両親の覚悟には頭が下がりました。
さて、実際に小学校受験に臨むご家庭はどのくらいの割合で子ども本人にそのことを伝えているのでしょうか。
理英会調べでは9割のご家庭が何らかの方法でお子さまに伝えています。実は、私ども理英会スタッフは、むしろお子さまに伝えていないご家庭が10%もいることに驚いています。
今回のアンケート調査をしていて聞こえてきた声の中に、「親としては受験することを本人にしっかりと伝えたつもりだか、その後本人は自分が受験するという認識がないままだったのでそのままで受験までいった」というものがありました。
今回のいいえ11%の中にはこういった「結果的に本人に伝わっていない」というケースが含まれると考えられます。
さて、次は受験することの伝え方です。
・(受験することを)お子さまに伝えた方法は?
・( 〃 )お子さまに伝えなかったのはなぜ?
について受験を終えたさまざまなご家庭から直接聞き取った例を集めてご紹介します。
皆さん、それぞれのご家庭で工夫したいろいろな言い方をされていますね。
これを読んでいるあなたは、お受験することをどうやって本人に伝えようかと考えているかもしれませんが、最後に一ついえることは、
無理して伝えないといけないということはなければ、無理して隠す必要もない。
これが今回の結論です。
幼児、そのご父母、幼児教室スタッフ、小学校現場などから生の声を収集することを日々のフィールドワークとしている
横浜国立大学教育学部心理学科卒