「合格するにはどれくらい家で勉強させればよいのですか?」
「家庭学習は何をどうやればよいのですか?」
このような質問を受けることが多くあります。その際には次のようにお答えすることにしています。
例)答えるスピードをつける練習時間、苦手な単元を克服する時間、得意な単元を確実にする時間など
・勉強をやらない日があると、親も子もなんだか気持ちが悪く感じるようになれば成功です。
今回は小学校受験と家庭学習についてお伝えします。
小学校受験も他の受験と同じように授業だけでなく家庭学習が必要です。それは大きく二つの重要な意味があります。
1)はよくお分かりかと思います。小学校入試の問題は決して易しいものばかりではありません。小学校低学年から中学年の単元で出てくるような知識や思考力を要求されるような問題すら出ることがあります。また小学校受験では多種多様の課題が出されます。最大で4科目の中学入試はもちろん高校受験、大学受験とくらべても最も出題の幅が広いのが小学校受験と言えるかもしれません。
お子さんには合格するために問題の難易度や種類に慣れたり、一定の速さで解答していくことなどが要求されます。
2)の非認知能力とは「最後まであきらめない力」や「飽きずに続ける力」「我慢する力」などいわゆる学力とは別の能力です。小学校受験で合否に影響するのはペーパーテストの得点力ともう一つ実はこの能力ではないか、と思われる受験結果が毎年報告されています。家庭学習を毎日やることは、時に難しくて投げ出したくなったり、同じことの繰り返しにふとマンネリ感を感じてしまったり、やりたくない日にもやらなければならなかったり・・・といろいろあります。だからこそ合格の鍵を握る非認知能力を養うために最も有効なのです。
これらの理由から小学校受験を目指すみなさんはそれぞれ家庭での勉強を頑張っているのです。
どのように家庭学習の環境を整えていったら良いのでしょう。
①まずご家庭でお子さんの状態と家庭の状況をしっかりと把握することから始めます。無理をして始めることはありません。そうすると長く続かず、お子さんの中で「勉強=無理やりやらされる、つらいもの」という意識が残ってしまい、その後それを「勉強=楽しいもの」にひっくり返すのに苦労します。
まずお子さんが一定時間机の前に座っていられそうな状態であることを確認してください。
合わせて、ご両親のうちのどちらかが継続的にお子さん本人との家庭学習を見守れる状況かどうかを確認しましょう。お子さんと親御さんの状態、状況が整った時点が家庭学習の準備完了です。これができないうちは無理に家庭学習を始める必要はありません。
②次に家の中で勉強をいつもやる場所を決めます。いわゆる勉強部屋である必要はありません。リビングでお母さんが夕飯の準備をしながら、などは多くの方がやっている方法です。
③次に必要なものを準備します。おススメするのは、
・勉強セット(教材、筆箱、プリントなど)を入れる専用のかご
・時間を計るための時計(秒針があるもの、シンプルなもの、目覚まし時計でok)
です。
スタート時に最も大切なのは「できることからやる」ことです。決して無理をさせないでください。無理にやらせるとトラウマになり、取り戻すのに大変なエネルギーと時間を使います。たいていの方が無理しがちなところをご紹介します。
これらに気をつけて、お子さまとご家庭のペースでじっくりと始めましょう。
ある年の受験直前、最後の授業での話です。それまでの1年間の受験準備を振り返って、保護者様お一人おひとりに話していただいていました。中のお一人がこんな話をしてくださいました。「受験前日、『あなたはこれだけがんばったのよ』と娘に自信をつけさせたくて、この1年間にやったプリントを目の前で積み重ねたんです。そうしたら、本人の身長を超えてしまって親子でびっくり・・・」
まわりのご父母もそれを聞きながらにこやかにうなずかれています。その場面にもし小学校受験のことをあまりご存じない方が居合わせたら受験生がやったプリントの量自体への驚きと共に、それを聞いた回りの父母がその量にはそれほど驚いた顔をしていなかったことにもう一度びっくりするかもしれません。つまり小学校受験では結果としてそれぐらい相当な量の家庭学習をこなすケースが珍しくない、ということもまたもう一つの事実です。伺ってみるとみなさん最初は少しずつ、短時間の学習から始めていたはずなのに親子で夢中になって取り組んでいるうちに毎日の家庭学習が習慣になり、次第に長時間でも頑張れるようになったのだそうです。もちろん、家庭学習に正解や見本はありません。それぞれのご家庭にそれぞれのスタイルがあってよいのです。
どうせやるならぜひ、「親子で成長できる小学校受験を!」
幼児、そのご父母、幼児教室スタッフ、小学校現場などから生の声を収集することを日々のフィールドワークとしている
横浜国立大学教育学部心理学科卒