前回の記事では小学校受験の対策を始めるのはそのご家庭のタイミングを優先するとよい、という話をしました。(小学校受験対策はいつから始めるのがよいのか)今回は、そのタイミングがいよいよ近づいてきた!と感じた時にまず何から始めればよいかを具体的にご紹介しますのでよろしければ参考にしてみてください。
受験準備は始めるお子さまの時期によっては決して短くありません。その間には夫婦で話し合い、協力し合い乗り越えていく場面がたくさん出てきます。その時に備えて夫婦でわが子の小学校受験について話し合っておくことが大切です。その時に二人の間で意見や考え方が必ずしも一致している必要はありません。相手と自分とではこの部分の考え方が今の時点では違っている、ということをお互いにわかっていればなんの問題もありません。
話が少し横道に逸れますが、小学校受験というものは素晴らしいもので、その準備を通してわが子と自分が向き合ったり、夫婦間で相手の子育て観に触れたり、もっと言えば相手の人生観に触れたり、ということがあるのです。小学校受験を考えるご夫婦は結婚して何十年もたっておられないでしょうから、いろいろな価値観に違いがあって当然です。話し合う内容は自由ですが、例えば次のようなことを話し合ってみるのはいかがでしょう。
話し合いを苦手に感じる場合は無理をすることはありません。お互いに相手の考えや思いを聞く心づもりをもっているだけで十分な準備になります。
小学校受験にとって何よりも影響を与えるのは毎日の生活です。小学校の入試の試験官や親子面接の面接官はお子さんの向こうに透けて見えるそれぞれの家族の毎日の暮らしぶりを感じ、それを合不合の判断の大きな材料とします。
では、わが子に小学校入試に強いとされる生活をさせるにはどのようにしたらよいのでしょうか。答えは簡単です。まず親であるあなたが毎日を丁寧に暮すことをご提案します。子は親の鏡です。親の毎日の暮らし方を子どもはおのずと真似していきます。
では丁寧に暮らすとはどんなことでしょうか。最初に意識するとよい3つのポイントを挙げてみます。
家の中はもちろん、幼稚園、保育園の送り迎え時、街中で、お出かけ先で…、意識して少し大きめの声で挨拶をしてみましょう。余裕があればそれまでの動作を一旦止めて丁寧に挨拶してみるとよいかもしれません。
自身の姿勢を意識して生活してみましょう。お子さまの前だけでなく職場ででも外出時でも、気がついた時全てです。特に立った姿勢と座る姿勢は時々独特の癖がついている方が多いので一度チェックしてみてください。正しい姿勢で毎日を送ることは、小学校受験の時だけでなくあなた自身の一生を通じての財産になります。
まずご家庭の中で意識してみましょう。お子さんと話す時、ご夫婦で話す時、自身の視線はどうなっていますか。これは話す際の癖としてご自身で身につけないと入試当日にその場しのぎで…というわけにはいきません。親が目をみて話してくれる環境で育った子どもは自然と同じような話し方をするものです。
家族でいろいろなところに出かけたり、様々な体験をさせることも立派な小学校受験の準備です。何も遊園地や観光地に行く必要はありません。近所の公園、郊外の大型ショッピングセンター、親戚の家、時には近所でもまだ通ったことのない路地に入っていくことだけで十分に新しい世界が広がります。 少々の雨や風の日はタクシーを使わずに頑張って歩いてみるのも立派な体験です。もちろん家の中でもいくらでも新しい体験ができます。掃除、洗濯、風呂洗い、アイロンがけ、草むしり…、「危ないから向こうに行っていなさい」ばかり言っているとお子さまの貴重な成長の機会を奪っていることになります。様々な体験をしているお子さんは入試に抜群に有利です。そんな子たちは
といった特徴があります。
小学校受験の準備をしていくなかでお子さんとたくさんの約束をすることになります。約束した時間に約束したことをする、約束どおりに頑張ってみる・・・、毎日は「あの小学校に行こうね」「受験をやってみようね」と幼いわが子と両親で交わした大きな約束を守っていくことに他なりません。
ではどうやったら大きな約束を守れるのでしょうか。そのためにまずは小さな約束から始めてはいかがでしょう。「時計の針があそこまでいったら遊びをやめようね」でも「この番組が終わったら歯を磨いて寝ようね」でもどんなものでも構いません。日常の生活の中で何気なく指示をしてしまいがちなことを、~これこれしようか、と事前にお子さまと相談して決めるだけで小さな約束をしたことになります。
ここでのコツは親のほうで一方的に決めないことです。かならずお子さまと相談した上で決めてください。この小さな約束は先になって受験のための家庭学習をしたり、教室に通ったりする際に、時にしたくなかったり行きたくなくても決めたことを我慢してやる、という頑張りにつながります。
この項目はお子さまの受験準備を通して常に心がけておかれるとよいでしょう。小学校が新1年生に求めているものを端的に言うならば「自立」です。小学校の先生方は6年間を通して預かった子どもたちを自立させていくのが使命だとお考えのはずです。ですから、入学者を選抜する際にもそれぞれの受験生の月齢に合った「自立度合い」を当然意識されます。
どんなことでも構いません。お子さまの発達段階や興味関心に合わせて「親が手を出さずにやらせる場面」をつくってみてください。何度失敗してもチャレンジしたことを褒めて、次のチャンスをあげてください。お子さまの自立は小学校受験という経験から得られる数々のメリットの中でも一際大きな宝物に違いありません。
どうせやるならぜひ、「親子で成長できる小学校受験を!」
幼児、そのご父母、幼児教室スタッフ、小学校現場などから生の声を収集することを日々のフィールドワークとしている
横浜国立大学教育学部心理学科卒