幼児教室に通うのは得なのか、損なのか?

わが子が幸せに長生きするために
「賢さ」以上に大切なものがあった

わが子に幸せになって欲しいと
願うのは親として当然のこと


お子さんがミルクを飲んでいる頃から、もっと早くお母さんのお腹にいる時から、自分たち親はわが子に何がしてやれるだろう!と考えるお父さん、お母さんは全世界共通のこと! でもいろいろと調べれば調べるほど迷ってしまうのが現実です。

そんな多くの選択肢のなかに必ずと言っていいほど出てくるのが「幼児教室」。
「幼児教室に通わせるって、効果はどうなんだろう・・・」
「わが子の勉強くらい親の自分たちで見れるような気がするし・・・」
「そもそも幼児期にはのびのび遊ばせて育てるのがよいのでは?」

わが子の幼児教育に時間、お金をつぎ込むのは得なのか、損なのか?
今回は、「教育経済学」という切り口でこの疑問に答えていきます。

「生まれた家庭環境によって人生が
両極化する不平等はなくせる」への挑戦

今日、アメリカはじめあらゆる地域で、どんな環境に生まれあわせるかが不平等の主要な原因の一つになっています。これは厳しいですが現実です。
例えばアメリカでは専門的な技術、知識を持つ人と持たない人との両極化がますますはっきりとしてきており、この両者の違いは乳幼児期の体験に根ざしていると言われています(「幼児教育の経済学」ジェームズ・J・ハックマン P10より引用)

この差は学校歴から始まって、賃金格差、病気や犯罪に関わる率など、生涯を通じてその子の人生を左右することになりかねません。 この問題にかなり前から取り組んでいるのがアメリカで、適切な社会政策を施せば是正することができる、と考えられ、特に教育が社会に及ぼす影響の研究かなり前から行われています。

その研究の中で、次のような三つの大きな教訓がみえてきました。

  1. 人生で成功するかどうかは、①学力(認知的能力と呼ぶ)だけでは決まらない、②非認知能力といわれる要素、健康や根気強さ、意欲、自信といった社会的・情動的スキル(非認知能力と呼ぶ)も大きく影響している
  2. ①認知的能力も②非認知能力も幼少期に発達し、その発達は家庭環境によって左右される
  3. これらのスキルは幼少期に何らかの対策をうつことによって明らかに効果的な成果が確認されている。これは人間のすべては遺伝子で決まるという考え方に反している
  4. (「幼児教育の経済学」ジェームズ・J・ハックマン P11より引用)

恵まれない環境に生まれた子どもに幼い時期から手をかけることによって、はっきりした永続的な効果をもたらすことができることが、もし研究によって証明されたならそれは、生まれた家庭環境によって人生が両極化するという不平等な社会は、教育に力を入れるという社会政策によって改善されるはずだ、というなんとも希望に、満ちた未来が見えてきますね。

少し前に、オバマ政権が「頂上へのレース」プログラムとして、幼児教育への予算を増額したのもこういった理由があると言われています。

わが子が幸せに長生きするのに
「賢さ」以上に影響するもの

誰しもが、幸せな人生を送りたいと願います。そして自分以上にわが子にそれを願う親は多いでしょう。アメリカで1960年代から70年代に行われた大規模な二つの社会実験(※)から導かれた一致した意見は、人生における成功は賢さ(認知能力)以上の要素に左右されているとしています。それは何でしょう?

意欲や、長期的計画を実行する能力、他人との協働に必要な社会的・感情的制御といった非認知能力がそれです。

賢さ以上にその後の人生に影響を及ぼすと言われる非認知能力は、生涯賃金や就労、労働経験年数、大学進学、十代の妊娠、危険な活動への従事、健康管理、犯罪率などに大きく影響することが長期間にわたる調査によって証明されています。

※1962年~1967年:ペリー就学前プロジェクト・1072年~1977年:アベセダリアンプロジェクト

そうなると、次に頭に浮かぶのは当然、わが子を幸せにするという「非認知能力」というものはいつ、どうやって伸ばしたらいいのだろう?ということになりますね。

先ほど紹介した今から半世紀前にアメリカでの国家的な大プロジェクトの研究は、この疑問の答えに「幼児期の教育」が大きく関わっているようだ、と投げかけています。

次から、それらのポイントを紹介します。

幼児教育の効果を40年以上に
わたって追跡調査をしたすごい実験

恵まれない家庭の子供を対象に幼少期の教育の環境を大きく改善してあげると、大人になった時にどうなっているかを追跡調査して調べる、これが幼児教育の成果を科学的に実証した有名な2大研究です。ペリー就学前プロジェクトは1962年から5年間、ミシガン州の低所得でアフリカ系の58世帯の子供を対象に実施されました。

これらの就学前教育(おそらく対象は5歳児中心)は30週続けられました。
(30週=約7ヶ月、これを短いと捉えますか、長いと捉えますか?)

もう1つのアベセダリアンプロジェクトはその10年後に、いわゆるリスクの高い恵まれない平均4.4歳の幼児111人を対象に、8歳になるまで毎日なんらかの幼児教育を継続しました。
こちらは先の研究をより濃く実施したということになります。

この2つの実験では共通の結果が確認されました。

  1. 実験グループの子供は対照グループ(特別な幼児教育を受けていない)の子供と比較して全てにおいてよい結果を得た
  2. 認知能力(IQ)の差は実験終了後4年たつとすっかり消えた
  3. 非認知能力をはじめとするIQ以外の主要な効果は継続した

そして(ここからがこの実験の壮大なところです)最初の実験の子供たちが40歳になった時、あとの実験の子供たちが30歳になった時の最終的な追跡調査の結果がこちらです。

ペリー就学前プロジェクトにおける
40歳時点での主な調査結果

(出典:Lawrence J. Schweinhart, Ph.D. “The High/Scope Perry Preschool Study Through Age 40”)

  1. 実験グループの子供は対照グループ(特別な幼児教育を受けていない)の子供と比較して学校生活を通じての学力検査の成績が良かった
  2. 実験グループのほうが学歴が高かった
  3. 収入が多かった
  4. 持ち家率が高かった
  5. 生活保護受給率や逮捕者率が低かった

更に、これらの実験の成果の利益を経済学的に計算すると、40年間で6%~10%の利益率となり、計算に入れていない体と心の健康がもたらす経済的利益を含めるともっと高くなるといいます。つまり幼児教育は極めて効率のよい先行投資ということもできるのです。
幼児教育は経済学的な観点で見る限りこういう結果となります。

幼児教育の研究でノーベル経済学賞を
とった教授が言っていること

この人、ジェームズ・ジョセフ・ヘックマンはシカゴ大学の経済学者、教育や労働がどのように人々の幸福を高めるかという研究で2000年にノーベル経済学賞を受賞しています。この先生が言っていることを紹介しましょう。

幼児教室を検討する際に
今一度意識しておきたいこと

以上のように、幼少期に積極的に教育することは学力(認知的能力)の土台を作るという効果はさることながら、それ以上に幸せな人生を送ることに関係する、根気や意欲、人との関わりかたなど非認知能力を醸成することになります。
また今回紹介した研究はアメリカのものであるが、これら一連の研究は日本でも既に行われており、同様の結果が確認されています。(「幼児教育の経済学」 ジェームズ・J・ヘックマン著 東洋経済新報社 より)

つまり子育てにおいて学術的な観点でみる限りは実に正しい選択と言えるでしょう。

ここまで読んで、「さっそく幼児教室を探さないと!」と思われた方へ。
幼児教室に関わる者から、これだけはお伝えしたいと思います。

  1. 一番の教育の場は「家庭」、最高の教師は「親」ということ
    どんな幼児教室もかなわない、これは当たり前のことです。
  2. 子どもも親も「楽しい」と思える環境がベスト、幼児教室は居心地を大切にすべき
    一口に幼児教室と言っても千差万別、幼児教室を選ぶときはその空間に足を踏み入れた際に感じた「居心地」を大切にしてください。人は幼児でも大人でも快を感じる環境での学習は不快を感じる環境でのそれより格段に効果が高いということは過去の実験でも実証されています。
  3. あわてて選ばないこと
    居心地や環境が自身の基準をクリアしたら、最後はその教室での授業をじっくりと見てください。資料やパンフレットやWebも大切ですが、実際に授業を見学したり受けてみることはその数倍重要です。幼児教室の中には授業非公開だったり、体験よりも何よりも一刻も早い入会を、と半ば強引に勧めるところもあるようですが、ここは時間をかけてゆっくりと選ぶべきです。

東京、神奈川でこれまでに1万人以上の幼児送り出したどんちゃか、理英会のスタッフとして最後にお伝えしたいこと

幼児教室に通いだすのに、早すぎることもなければ、遅すぎることもありません。
でも、いい出会いは少しでも早く訪れると嬉しいです。

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