洗足学園小が取り組む「心の教育」とは?【神奈川新聞の理英会コラム】

理英会が担当する神奈川新聞の連載記事
神奈川新聞 2022年2月28日 朝刊掲載
洗足学園小学校 吉田英也校長

【紙面本文】

洗足学園小が取り組む「心の教育」とは?
児童が自分ごととして考えるための授業

小学校受験の人気校の一つ、洗足学園小学校は児童全員が中学受験にチャレンジするという。
2010年の校長就任以来、同校を今日の人気校へとリードしてきたのが吉田英也校長=写真=だ。
同校が重視する「心の教育」について吉田校長に聞いた。

「児童の心と学力を同じように引き上げることが学校教育のあるべき姿です。学力だけが大きくなって、心の方が小さい車輪のままではまっすぐに進めません。『洗足学園は勉強ばかりの詰め込み教育』と誤解を受けもしますが、実際は違います。それを示す取り組みの一つが『心の教育』です。

卒業生たちには、ぜひ社会でリーダーシップを取る存在になってもらいたいですが、彼らがリーダーシップを取る立場になった時、結局大事なのが『心』でしょう。
校長に就任した頃のことです。中学受験をめぐり、『あの子がどこへ合格した』『塾ではすごくできる子だ』といった児童たちの会話が気になりました。
こうした背景から、学力と心のどちらも重視するため道徳教育に力を入れたのです。

まず、千葉大学の『道徳教育』の専門家、土田雄一教授を招き、校内研修、研究授業を実施。洗足学園の道徳教育の方針を『児童自身が考え、議論する道徳』に固めました。
児童が『良い悪い』を自分ごととして考えることを道徳教育の中心にすえました。

たとえば、6年生の道徳の授業。仲の良い友だちが自分と同じ中学校を受験して、自分は合格、友だちは不合格。こんな時、友だちにどう言葉をかけたらよいか。
こうしたテーマで議論をします。今度は逆に友だちだけが合格、自分は不合格。どう言葉をかけられたら、自分が嫌な気持ちになるのかを考えます。

実際に2月になると、そういう場面が起こりうるわけです。起こった時を考え、『こうしたらいけない』という思いがどこかにあれば、声のかけ方が自然と変わってくるわけです」
授業の効果で児童同士のトラブルや衝突が、目に見えて少なくなったと吉田校長は語ってくれた。

実践的な探求型学習の取り組みに今後も注目したい。

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