理英会が担当する神奈川新聞の連載記事
神奈川新聞 2021年10月4日 朝刊掲載
理英会 入試対策室 室長 久野康晴
【紙面本文】
小学生入試や先の成長に大切なことは?
子どもらしい表現力を育むこと!
「詰め込み教育」という言葉が使われていた時代と今とでは社会背景が変化して、世の中で求められる力が明らかに変わってきています。
授業で「来週、宇宙ってどんなところかお話してね」という課題を出したことがありました。
翌週、子どもたちに話させてみると、多くの子が「太陽があって、月があって、星があって……」と話してくれました。
常識的な答えですが、その子らしさの感じられないことばでした。
そのことを保護者に授業後話すと、ある保護者から「先生、正解は何ですか?」と質問されました。「正解はないのです。」
入試問題は対象年齢が上がるにつれ、当然、難易度が上がっていきます。
それにともない、対応するための知識や技能も増えていきます。
学習指導要領で「表現力」という柱が明確に立ったことにより、中・高・大の各入試問題で科目横断的な知識をもとに、さまざまな思考・判断をし、それをまとめる記述問題が増える傾向にあります。
一方で、いわゆる解法テクニックで解答できる問題も少なくありません。
それが小学校受験と中高大学受験を大きく隔てるものになっています。
小学校受験は、おおよそ次の5項目で成り立っています。
ペーパー、運動、絵画制作、行動観察、面接。ペーパーテストで一番大切なのは解法テクニックではありません。
問題文が文字になっていないので、先生のお話をきちんと聞くことができなければいけません。
また、隣の生徒の答えを見ない。
始めと終わりの合図を守るなどのルールを守れるかどうかが見られます。
解法テクニックが役に立つのはもっと先。一方で、一部の学校のペーパーテストでは近年、学習要素を組み合わせた複合型の出題がされ、問題の多様化や深化が見られます。
こうした学校では十分な対策が必要です。
幼少期には人の話をきちんと聞ける姿勢を身に着け、それを前提として、自分のことばで話せること、自由に想像してみること、子どもらしい表現力を育むことが、小学校入試でも、その先の成長においても、とても大切だと考えます。
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