願書に書きたい!慶應の気風
例年、慶應義塾横浜初等部の願書には
創設者の福澤諭吉の著作『福翁自伝』を読んで、
所感を記す指示がありました。
しかし、これまでとは異なり、
2020年度の横浜初等部の入試では次のように変更されました。
「『伝記 小泉信三』を読んで、
慶應義塾の塾風・気風(空気感)について感じるところを書いてください。」
そこで、この「『伝記 小泉信三』を読みとくブログ」では、
これからこの本を手にされる方のために、
どんな箇所を気にとめながら読んでいけば良いのか、
詳しく解説します。
今回から第二章「教授時代」を読んでいきましょう。
信三が教職に就く前後から話は始まります。
一 大学を卒業して教員になる
大学卒業間近の信三は進路に悩んでいました。
・銀行員
・新聞記者
・研究者
信三が考えていた進路はこれらの3つでした。
そんな時、慶應の先生たちが研究者になる後押しをしてくれました。
ただ、先生たちからは「学者の道は実力勝負、そのつもりで頑張れ」と、激励を受けたとも書かれます。
この言葉は信三の心に強く残り、この後、学問に励んだことが業績から見て取れます。
慶應の教員になって間もなく講義を持っているわけではない信三はその時間で文学部の教授に就任した永井荷風のフランス文学講義を学生に交じって熱心に受けるなどしていました。
その永井荷風(ながいかふう)ですが大正時代から昭和にかけ、谷崎潤一郎とともに「耽美主義」と呼ばれ活躍した作家です。
慶應大学教授になると、「三田文学」という雑誌を刊行。
紙面で文学者を育成し、日本の近代文学の発展に貢献しました。
信三は専門の経済学以外に文学への関心も持っていました。
後に研究だけでなく、一般書を書くようになる信三ですが、その文才はこの頃から培われたものでした。
まとめ
この章の終わりでは、心を豊かにする教養や趣味を身につけることの大切さを筆者は説いています。
それが結局思いもよらない自分の利益につながることを信三を例に示します。
読書や芸術に触れ、心を豊かにすること。
所感を記す際、読書をテーマに書く場合、とても参考になるページとなるでしょう。
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