筑波大学付属小のICT授業とは?【神奈川新聞の理英会コラム】

 筑波大学附属小学校(東京都文京区)では、2014年から産学協同でICT授業の実証研究・開発が行われている。6月7~9日に開催されたニュー・エデュケーション・エキスポ2018(東京都江東区)で、同校の先生と児童が出張形式で公開授業を行い、研究成果が披露された。
 授業は小学3年生のクラス。40人の児童全員に1台ずつタブレット端末が配備されていた。タブレット画面にはデジタル教科書が表示されている。デジタル教科書は紙の教科書とは違い、書き込んだり消したりする作業がタッチペンで楽にできる。さらに、好きな色で線を引いたり、重要な部分を切り取って張り合わせたりすることもできる。この日、国語の授業では「こまを楽しむ」という文章を扱っていた。ある児童は文章中に出てくるたくさんの種類の「こま」の名前を切り取り、画面上でカードのように並べて整理していた。ICTの導入で、学ぶ側の主体性がいっそう高まっていると言えるだろう。
 先生の後ろにはテレビモニターのような電子黒板があり、40人全員のタブレット画面が同時に映し出されている。先出の「こま」の児童のタブレット画面もある。それを真似て同じ作業をしている別の児童がいる。ICTにより、各々の取り組み方が可視化され、学びの手法をクラス全体で共有することもできるのだ。
 授業を担当した国語科の青山由紀教諭は次のように語る。「子どもたちは他の友だちの線の引き方や段落の分け方を電子黒板で見て、課題の意味に気づき、真似をします。ICT導入後は、教師からの働きかけでなく、子どもたちの積極的な気づきによって授業を進めることが多くなりました。私たちも、子どもたちの授業理解度を把握しやすくなりました。色分けして内容をまとめている子やぴたりと手が止まっている子が一瞬で視認できるのです。授業を次へ進めるかどうかの判断が以前より正確にできるようになりました」
 主体的な児童の学びを引き出す筑波大学附属小学校のICT授業研究の今後の発展に注目したい。
(どんちゃか・理英会 薗田隆平)

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