「小1の壁」と呼ばれる教育問題がある。小学校進学時に放課後の預け先が見つからず、ワーキングマザーが仕事を辞めざるを得ない問題だ。各自治体は、この状況を改善するため2015年に施行された「子ども・子育て関連3法」のもと、学童保育の充実を進めている。
横浜市でも公立小学校の放課後児童育成事業の運営を強化。18時までの利用可能時間を19時まで延長し、常勤職員も倍増するなど受け入れ体制の拡充を行っている。従来の「はまっ子ふれあいスクール」が「放課後キッズクラブ」へと運営を変える形だ。
一方、私立小学校でも「アフタースクール」と呼ばれる学童保育を開設する学校が増加している。共働き家庭をサポートして生徒募集につなげたいという意図だろう。だがそれとは別に、私立小ならではの事情もある。鎌倉市にある清泉小学校の大西校長は「児童たちのコミュニティ(共同体)を作りたい。放課後に子どもたちが集まり、安心して遊べる場所があったら言うことはない。」と、新たにアフタースクールを開設した思いを語る。私立小は児童が様々な地域から通学してくる。そのため帰宅後はどうしても1人で遊ぶことが多くなる。放課後に児童たちが安心して一緒に遊べる場所(=コミュニティ)を確保することは私立小の切実な願いなのだ。
「コミュニティ」という言葉は、公立・私立を問わず学童保育の重用なキーワードのようだ。公立の小学校は、もとより地域コミュニティのシンボル的存在だ。小学校が地域に根ざし、開かれた場所であることは、学童保育にとっても功を奏しているようだ。「放課後キッズクラブ」では、地域住民の中から昔遊びの名人や、読み聞かせの名人、フラダンスの名人がやって来て子どもたちにそのワザを披露したり、教えてくれたりするそうだ。地域住民の参加と支援が学童保育を充実させているわけだ。このような学童保育の放課後コミュニティは公立・私立とも重要視され、今後さらに発展していくのだろう。
(どんちゃか・理英会 薗田隆平)
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