昨年2019年の慶應義塾横浜初等部の入試を今一度振り返り、解説するブログです。
入試概要
慶應義塾横浜初等部は願書の出願期間が2日間のみと短いです。
例年、願書作成にあたっては、創設者・福澤諭吉の著作『福翁自伝』を読んで、所感を記す指示があります。
(※2020年度の入試では「『伝記 小泉信三』を読んで、慶應義塾の塾風・気風(空気感)について感じるところを書いてください。」という内容に変わりました。)
受験番号は出願順、考査日時は男女別の月齢順です。
1次試験はペーパーテストで、2次試験は運動、制作、行動観察です。
面接はありません。
1次試験は約40分、2次試験は約90分で実施されます。
1次試験を通過した志願者の3分の1ほどが2次試験に進みます。
志願者は約1400名で、倍率は約13倍です。
もともと、横浜初等部の入試準備室は全国の国立小学校の入試問題を参考にしたと言われていて、1次試験のペーパーテストは難問奇問が少ないのが特徴です。
筆記用具にはクレヨンとクーピーが使用されます。
ペーパーがフルカラーなのが特徴です。
また、音声と電子黒板を使って出題がされます。
出題頻度の高い問題は、話の記憶、欠所補完などの運筆、図形構成的推理、同形発見、ルールのある問題、常識問題などです。
どれも小学校受験の定番の出題です。
指示理解力と集中力、運筆力が同時に見られています。
面接はありませんが、受付後の待機や整列、移動など、試験以外での行動も見られています。
ペーパー課題に取り組む時間以外でも、場に応じた行動ができることが大切です。
2次試験の運動についてですが、この学校では運動能力がとても重視されています。
たとえば、25メートルを走りきるレベル、キャッチボールができる、遠投などができると良いでしょう。
過去には長い筒のような形状のものを投げる出題もありました。
マット運動、動物歩き、模倣体操など定番の運動も出ています。
ここからは2019年度の出題の中から、いくつかピックアップして解説いたします。
ペーパーテストの解説
テストは男女ともに5題出題されました。
これは同形発見の問題です。
単純に上のかたちと同じものを探す問題ですが、解答時間がとても短く、集中力とスピードが必要でした。
こちらは女子で出題された線対称図形の問題です。
出題が「紙をパタンと折ってハサミで切ると、どうなりますか。右に描きましょう」というものでした。
この出題のしかたで、子どもたちが線対称の図形を描けば良いのだと理解することは難しかったでしょう。
指示理解力が試されています。
また、先を見る力も必要で線が点を通っていない箇所があるので、それをわかりながら線を引く運筆力も必要でした。
回転図形、平面構成の出題も定番で、過去には具体物を机に実際に置いた立体推理問題も出題されています。
この問題はヒントを聞いて、その特徴を持つ人物を探し、丸をつける問題です。
たとえば「さとしくんは、半袖のシャツを着て、長ズボンを履いて、水筒を持っていて、帽子をかぶっています。
赤のクレヨンで丸を描きましょう。」というように出題されました。
話をしっかり聞いて、ものごとのポイントを理解、把握できているかが見られています。
運動、制作、集団行動
運動はマットの上での横転、動物歩き、ジャンプなどの出題がされました。
横転は手を伸ばして、きれいにできると良いでしょう。
ジャンプは月齢によって3種類の違った跳び方の指示が出されました。
月齢の低い子は、うさぎのように跳ぶ指示、成長に合わせて、斜めに跳ぶ、お腹まで膝を上げて跳ぶというように指示が変わりました。
制作ですが、円柱、円錐、三角柱などを画用紙とセロハンテープで作り、それらを「山で遊ぶもの」といったテーマ指示のもと、自由に制作する課題です。
集団行動では、台の上の鬼に向かって、床に置かれた玉を投げる様子が見られました。
こまかな指示はありませんが、チームに積極的に参加できることが大切です。
入試を笑顔で楽しめるようなコンディション作りがとても重要になってくるでしょう。
何事にもメリハリがあることが求められています。
※動画でも解説しています。
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