時間をあけて本を読み返すと、以前は気づかなかったことに気づき、自分のものごとのとらえ方がずいぶん変わったのだと感じることがあります。
読書のだいご味ですね。
今回は、そういう仕かけが仕組まれた絵本を紹介いたします。
小学生や中学生になったときや、大人になったときに読んでも、まだまだ十分読み取ることがおり込まれている作品を今回ご紹介します。
芥川龍之介/作
遠山繁年/絵
1,760円
1918年発表
偕成社
おしゃかさまが散歩しています。
すると、はるか下の地獄にカンダタという大泥棒の男がもがき苦しんでいるのが見えます。
おしゃかさまは生前ひとつだけ良いことをしたこのカンダタをあわれんで、地獄へくもの糸をたらして救い出してやろうとするのでした。
エゴイズム
あっけない
大たん
このお話の主人公は、いったい誰でしょうか。
カンダタに目がどうしても行ってしまいますが、もっと引いたところから、このお話全体を見てみてください。
おしゃか様は、なぜカンダタ以外の罪人は救おうしないのでしょうか。
おしゃか様が、どのように書かれているのかに注意して、改めて読んでみてください。
芥川龍之介は「自己中心は良くない」と、カンダタを指摘したいのでしょうか。
その視線を、ここに書かれている、おしゃか様にも向けてみてください。
芥川の張りめぐらした糸に気づくはずです。
おしゃか様こそ、そのときの気分や好奇心で動いていないだろうかということに、大人になって改めて読んで気づくはずです。
カンダタが一方的に悪いわけではないように書かれているのです。
大人になったときのお楽しみのために、どうぞお子さんにこの絵本を読んであげてください。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
今回紹介した本を含めて国語のプロが厳選した300冊の書籍が読める!
目と耳で読む速聴読!国語力アッププログラム
読書から国語力を育てる ことばの学校
[ くもの糸をよじのぼり、ここから抜け出したい!]のご感想やコメントをお寄せください。
最近のコメント