公立小学校では2020年度から新たに3年生にも週1コマの英語学習が必修化されるが、私立小学校では何年も前から英語授業を始めている。3年生どころか1年生から英語学習を行っているところも多い。湘南白百合学園小学校もその1つだ。2014年度から1年生でも週1コマの英語の授業がある。
「『英語ができる人は特別』という意識をなくしたい」と語るのは指導歴20年のポール・インカー教諭。同校では今年度初めて「英語週間」を実施。登校する児童に校門の守衛が「Good morning!」と声をかける。朝礼は澤野校長の英語スピーチ。続いて6年生の「LET IT BE」の合唱。ホームルームも英語、昼の校内放送も英語。英語漬けの1週間だ。ポール先生による教員に向けてのレッスンは実施済みである。ここに成功のかぎがある。先生たちが非常に熱心にレッスンを受けるのだ。
英語に限らず、この学園では「人の話に耳を傾ける姿勢」を重視している。実際、入学試験でも相手の話をしっかり聴けるかを徹底して見ているようである。澤野校長曰く「学びは、しっかりと聴くことから始まります」。だから英語の授業でもリスニングに重きを置く。そのために必要なのが発音。逆説的だが、聴き取りと正しい発音は表裏一体なのだそうだ。1年生では毎回授業の最後に一人ひとりの発音の口の形、息の出し方を先生がチェック。また、全学年を通して、オックスフォード・リーディング・ツリーという、イギリスで多くの小学校が「国語」の教科書として採用している絵本を扱う。一例として、5年生では、ICT機器から流される音声を聴き取り、「誰が・どこで・何をしたか」を書き出し、グループで分かち合いをして発表したり、内容を一文にまとめたりする。ここでもお互いの発言を「聴く」ことを大切にしている。
「パーフェクトにこだわらなくて良い。1つでも2つでも良いから、自分が何を聴き取ったかを先生に聴かせてほしい。」とポール先生は最後まで人に寄り添い、人の話に耳を傾けることの大切さを語っていた。
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